【完】365日、君をずっと想うから。
早足で歩いてきたため、息を切らして辿り着いた校門前。
だけど、いつもいるはずのその場所に、やっぱり花ちゃんの姿はなかった。
プラネタリウムに向かったのだとしたら、閉館だということを知って、家に戻ってくれればいいんだけど……。
でも、花ちゃんの家の場所は知らないし、ケータイも繋がらない。
今すぐにでも花ちゃんがどこにいるのか確かめたいのに、なす術もなくて。
ちっとも動かないケータイを握りしめ、途方にくれていたそのとき。
「ひゃーっ!
蓮からありがとうなんて、中学からの付き合いで初めて言われたんだけど!
明日雪降るんじゃない!?
ねぇ、シノ!」
「ふふ」
「うっせーな、ひかる。
たまにはいいだろ。
俺だって、感謝くらいするから」
校庭の方から聞こえてきた、数人の声。
その中の聞き覚えのある声と名前に、条件反射のようにそちらを向いた。
と、校門から出てきた3人組のうち、ポケットに手を突っ込みながら歩いてきたひとりと目が合った。
「……あ」
「蓮くん」
それは、蓮くんで。