【完】365日、君をずっと想うから。
その姿が見えなくなると、はぁぁっと大きな溜め息を吐きながら、向坂くんがその場にしゃがみ込んだ。
「……電話も出ないからまじで焦った。
最近、ここら辺でタチの悪いナンパが多発してるって聞いてたから」
だから……一緒に帰ろうって言ってくれたの?
私を守ってくれようと……?
「向坂くん……。
助けてくれて、本当にありがとう……」
すると、向坂くんが拗ねたような顔で立ち上がる。
そして、コツンと私のおでこを小突いた。
「突然いなくなるんじゃねぇよ、ばか。
電話出ろよ、ばーか。
ったく、ほんと花のことになると気が休まらねーっつの」
「ごめん……」
そんなに心配してくれてたんだ……。
私のもとに来てくれた時、肩で息を切らしてた向坂くん。
それは、走って捜してくれていた証拠で。
その優しさに、不覚にも目の奥がジンと熱くなる。