【完】365日、君をずっと想うから。
「蓮、一緒に帰ろうっ……?」
懇願するように涙声を張り上げた。
どうか、蓮の心を覆う強がりを越えて、心の奥に届いてほしい。
と、蓮は観念したようにうつむき、そして口の端を上げた。
「ったく、花ちゃんは頑固だな。
……ん、一緒に帰るか」
「蓮……」
蓮の言葉を合図に、私は蓮の肩に手を回して、その身体を支える。
そしてふたりで歩きだした。
一歩、一歩。
蓮はやっぱり右足が地に着くたび、痛そうで。
その足取りを見れば、どれくらい怪我がひどいか、すぐ分かる。
「ごめんね、足痛かったよね……」
「花のことを捜すのに夢中で、痛いのなんて忘れてた」
疲れきっているのか、囁くような、いつもより微かな声。
また涙が込み上げてきて、堪えるのが大変だった。
私は、何度この人に助けられてきたんだろう。
そして、なにを返せてきたんだろう。
蓮、蓮、蓮……。
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