【完】365日、君をずっと想うから。
花ちゃんはちっとも悪くない。
そう伝えるように、力強くかぶりを振る。
「俺の方こそ、もっとちゃんと確認すればよかったんだ。
ごめんね、心細かったよね」
「ううん、私は全然大丈夫。
蓮が来てくれたから。
でも、蓮、足怪我してて……」
そう言いながら、花ちゃんが蓮くんの方を振り返る。
俺も視線を向ける。
だけど、さっきいた場所に蓮くんはいなかった。
「あれ、蓮……?」
花ちゃんは驚きの声を上げているけど、俺は見えていた。
花ちゃんの肩越しに。
彼がなにも言わずに踵を返し、足を引きずってひとりで歩いていくのを。