【完】365日、君をずっと想うから。
───放課後、ほとんどの生徒が教室から去り、静かになった校舎。
部活に向かおうとひとりで廊下を歩いていたとき。
『……待ってください……!』
背後で聞こえたタタタッ…と走る足音とともに、突然背中にぶつけられた女の子の声。
『え?』
反射的に振り返った瞬間、こちらに駆けてきていた彼女の身体が大きく前に傾いた。
危ない……!
そう思って、反射的に手を伸ばしていたときには、もう遅かった。
ドサーッ
派手な音を立てて、彼女の身体がリノリウムの床にうつぶせに倒れた。
『大丈夫!?』
彼女の前にしゃがみ込み、手を差し伸べようとしたとき、床に座り込んだままの彼女が顔を上げた。
髪から覗いたその顔を見て、思わずはっと息を呑んでいた。
『あ、あの、月島光輝さんですよね』
だって、彼女が泣いていたから。
ぽろぽろと涙を流し、でも彼女は眉を下げて笑っていた。
〝悲しみ〟なんて似合わない、そんな涙。