【完】365日、君をずっと想うから。
『小暮花のこと、覚えてますか?』
『え? 花ちゃん……?』
覚えていないはずがなかった。
彼の口から出た、懐かしくて今もまだ愛しいその響きに、俺は思わず困惑の声を上げた。
すると、俺の反応を見るなり、彼は玄関の前でバッと勢いよく頭を下げた。
突然のことに目を見開く俺に、彼は頭を下げたまま言った。
『花に、花にもう一度会ってやってほしいんです。
花はあなたのことずっと待ってるんです』
『え?』
『お願いします。
あいつの笑顔を守ってやれるのは、あなたしかいないんです。
だから、どうかお願いします』
蓮くんは、ぎゅうっと拳を握りしめたまま、ずっと頭を下げ続けていた───。