【完】365日、君をずっと想うから。
この時計のことを、早く蓮に訊きたい……。
電話にも出ないし、ひかるちゃんが言うには今日蓮は家にいない。
つまり、私の不安はなにひとつ解消されないまま。
懐中時計を握りしめ、重い足取りで廊下を歩いていると、階段に向かう途中で蓮の教室の前を通りかかった。
なにげなく、力ない視線をそちらに注いだ私は、だれもいない教室でひとり、窓際に立って外を眺める男子姿を見つけ、足を止めた。
あのふわふわした髪───間違いない、
「シノくん……」
私の微かな声を拾い取り、シノくんがこちらを振り返った。
「花ちゃん」
目を丸くして、私を見つめるシノくん。