【完】365日、君をずっと想うから。








この時計のことを、早く蓮に訊きたい……。



電話にも出ないし、ひかるちゃんが言うには今日蓮は家にいない。



つまり、私の不安はなにひとつ解消されないまま。



懐中時計を握りしめ、重い足取りで廊下を歩いていると、階段に向かう途中で蓮の教室の前を通りかかった。



なにげなく、力ない視線をそちらに注いだ私は、だれもいない教室でひとり、窓際に立って外を眺める男子姿を見つけ、足を止めた。



あのふわふわした髪───間違いない、

「シノくん……」



私の微かな声を拾い取り、シノくんがこちらを振り返った。



「花ちゃん」



目を丸くして、私を見つめるシノくん。

< 348 / 418 >

この作品をシェア

pagetop