【完】365日、君をずっと想うから。
……時計のこと。
蓮の幼なじみのシノくんなら、なにか知っているかもしれない。
そんなことが頭をよぎった、次の瞬間には迷う間もなく教室に踏み込み、シノくんの元へと駆けていた。
そして、シノくんの前に立つと、駆けた勢いそのままに時計を差しだした。
「ねぇ、シノくん、教えて……。
この懐中時計のこと。
なんで時間がどんどんなくなっているの?
蓮のこと、なにか知ってる?」
私の手のひらの上の懐中時計を見つめていたシノくんが、やがて顔を上げた。
そこで初めて気がついた。
シノくんの表情が、いつものふわふわした温かさにあふれていないことに。
力なく、脆く壊れてしまいそうな危うさすら感じる。