【完】365日、君をずっと想うから。
「……花ちゃん、頭を上げて?」
優しい声が降ってきて、私はゆっくりと頭を上げた。
シノくんは、覚悟を決めた強い瞳で、口をぎゅっと結んでいた。
やがて、ゆっくりと口を開いた。
「僕も、すごく蓮のことが大切なんだ。
蓮の幸せを願ってる。
だから、僕は蓮が幸せになる道を選択したい」
「シノくん……」
「そして、僕が思う蓮が幸せになれる道は、今花ちゃんにすべてを話すこと。
蓮の意思とは違うけど、でも僕は、花ちゃんにはすべてを知らせるべきだと思うんだ」
瞬きをひとつして、シノくんがまっすぐにこちらを見据えた。
「心の準備はできてる?
全部受け止める勇気は、ある?」
優しい声が、胸の奥に問いかけてくる。
私はぎゅうっと拳を握りしめ、そして大きく頷いた。
迷わない、もう決めた。
その意思が伝わるように。
シノくんが私に頷き返し、そして静かに真実を紡ぎ始めた。