【完】365日、君をずっと想うから。
蓮がいた世界の私も、こんなふうに名前を呼んでもらってたのかな。
名前を呼ぶのも、呼ばれるのもなんだかくすぐったくて。
「おい、ニヤニヤしてんじゃねーよ」
「えっ、ニヤニヤしてた?」
「してた」
うそ、完全に無意識だ。
恥ずかしいーっ!
ニヤニヤとだらしなく頰を緩めている自分の顔を想像し、ひとりでアワアワしていると、蓮がぽすっと私の頭の上に手を置いた。
「ほら帰んぞ。
家の近くまで送るから」
家まで、じゃなくて、家の近くまでに変わった。
蓮、私の意思を汲み取ってくれたんだ。
「うん!」
スタスタと歩きだす蓮の後を、追いかける。
その足取りは自然と軽くなっちゃって。
蓮への警戒心が、心の中でじわじわと溶けていくのが分かるようだった。
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