【完】365日、君をずっと想うから。
◇ 初恋と海




°








5月




「テスト終わったのに、だるーい」



「校長の話長いんだよね〜」



テストが終わり、体育館へ移動の時間になると、教室がクラスメイトの不満の声で溢れ返った。



なぜなら、これから体育館で全校集会があるから。



終わり次第下校になるんだけど、この全校集会がなかなか長いんだよね。



でも頑張れ、花!

あとちょっと!



テストで疲れ切った自分を鼓舞しながら、クラスメイトに遅れをとらないよう、教室後ろのドアから廊下へ出た、そのとき。



それは、突然だった。



後ろから伸びてきた手にぐいっと腕を掴まれ、私の体は動きを止めていた。



……正確には、止めさせられたんだ。



「捕まえた」



聞き慣れてきた、どこか甘さも含んだ声。

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