【完】365日、君をずっと想うから。
顔を上げた刹那、目の前のその姿は涙のフィルターがかかって揺らいで見えた。
「蓮……」
立ち上がる私の目の前で、走ってきてくれたのか、蓮は肩を揺らしていた。
あぁ、蓮、だ……。
その姿を見た瞬間、いろんなものが一気に込み上げてきて。
必死に涙を堪え、喘ぐように声を振り絞った。
「ずるいよ、蓮……。
優しすぎるんだよ、蓮は……」
シノくんから聞いて、すべてが分かった。
ひかるちゃんがマカロンを好きだから、話すきっかけを作るために、マカロンを作れって命令した。
ひかるちゃんのことで悩む私の背中を押してくれた。
夜呼び出したら来てくれて、私の悩みを聞いてくれた。
家に通って、お父さんとお母さんを説得しようとしてくれた。
コウくんを捜し回ってくれた。
そしてコウくんを遊園地に呼び出し、私と再会させた。
コウくんに、私がプラネタリウムに行きたがっていると教えてくれた。
全部全部、蓮がやってくれたこと。
私がひとりぼっちにならないように。