【完】365日、君をずっと想うから。


そして、シノくんに出会った日のこと。



篠坂だから、名字の頭を取ってあだ名はシノ。



それを聞いたとき、たしかに胸の奥で感じた違和感。



「コウ……」



初恋相手の名前は、向坂蓮の〝コウ〟だった。



あのとき私を助けてくれたのが、蓮だったなんて……。



「花の初恋相手が月島じゃなくて俺だってこと、タイムスリップしてから花に聞いて、すげぇ幸せだった。
記憶違いしてても、想いが通じ合ったことはあったんだって、嬉しかった」



「蓮、」



「あのとき、俺の背中に必死にしがみつくこいつを、俺が絶対守ろうって思った。
あのときからずっと、花のことだけを想ってた」



「ふ、うぅ……っ」



知らされる蓮の想いに胸が揺さぶられ、嗚咽が漏れる。



私もだよ……。



助けてくれたあのときから、ずっと想ってた。



初恋は、君だったんだね、蓮……。



あの日から、蓮は何度も私のことを助けてくれていたんだ……。

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