【完】365日、君をずっと想うから。
蓮が親指でそっと、私の頰を伝う涙を拭った。
視線を上げれば、蓮が笑っていて。
「泣くなよ、ばか。
笑顔、見せてくれよ俺に」
蓮……。
私はひとつ鼻をすすり、
そして。
目を細め、口の両端を上げた。
「へへ…」
こんな涙でぐちょぐちょな笑顔、大失敗かもしれない。
でも、蓮が望むなら何度だって笑うよ。
「その笑顔が、なにより大好きだよ」
頰を包んでいた蓮の指が、瞼に触れる。
唇に触れる。
愛おしいものに触れるように、慈しむように。
まるで、私のすべてを忘れないよう、その瞳に焼きつけるように。
私も、蓮の一瞬一瞬を見逃さまいと、蓮を見つめる。