【完】365日、君をずっと想うから。
それに答えるように、蓮が口を開く。
と、そのとき。
突然蓮の身体の力がふっと抜けたかと思うと、私の身体にもたれかかってきた。
「蓮……っ?」
「……わりぃ。
ちょっと眠くなってきた。
花の膝、貸してくんねぇかな」
「う、んっ……」
溢れそうになるものを堪え、なんとか声を振り絞って返事をする。
ここで泣いちゃだめだ。
私が大木の上に腰掛けると、その隣にゆっくり座った蓮が、私の膝の上に頭を乗せて横になった。
「……こうしてると、1年前のこと思い出すな」
目を細め、あの日に思いを馳せるように呟く蓮。
「そうだね」
あの日、目を覚ましたら蓮が膝の上に頭を乗せて寝ていて。
びっくりしたし、最初は蓮のこと怖いって思ってたっけ。
「懐かしい。
私にとって、かけがえのない思い出だよ」
私たちを包む草原の緑を見つめながら、記憶の愛おしさに頰を緩めていると。
「花」
蓮が私の名前を呼んだ。