【完】365日、君をずっと想うから。
「ん?」
視線を落とすと、蓮の手が伸びてきて、私の頰に優しく触れた。
その温もりを感じるように、私は蓮の手の上に手を重ねる。
「花に出会えて、良かった。
多分、だれより幸せだった」
なんで、なんでそんなこと言うの。
不意打ちで言われたら、泣きそうになるよ……。
でも、衝動的に込み上げてくる感情をぐっと抑え込み、私は微笑んだ。
蓮の瞳に映る景色が、少しでも温かいものであってほしいんだ。
その瞳を悲しい色に染めたくないから。
心配性の蓮を、これ以上心配させないように、笑顔を作る。
こんなふうに笑顔を作れるようになったのは、蓮のおかげで。
笑えるようになったよ、私。
蓮に出会えたから。
蓮、ありがとう……。
感謝の気持ちも、蓮に出会えた喜びも、蓮が未来から来て果たせたことも、
その全部が伝わるように、笑顔を見せる。