【完】365日、君をずっと想うから。
窓を閉め、バックを肩にかけ、家族が待つ庭へ向かう。
今日から、家族旅行。
私の大学合格祝いにと、お父さんが計画してくれた。
『花、勉強頑張ったからな。
たまには家族で出かけようか』
土日も仕事仕事、のお父さんの突然の提案に、家族みんな目を丸くして驚いたっけ。
靴を履いて外へ駆け出ると、家族が車の前に並んで、私が来るのを待っていた。
「花!」
大切な名前を、お父さんが、お母さんが、お兄ちゃんが、お姉ちゃんが、みんなが呼んでくれる。
「今行く!」
笑顔で答え、だれもいなくなった家の玄関の鍵を閉める。
そして、振り返ったとき。
視界いっぱいに、真っ青な空が広がった。