【完】365日、君をずっと想うから。
今すぐ逃げたいけど、彼の頭を膝から下ろしたら起きちゃいそうだし……。
どうしたものかと、膝の上に爆弾でも抱えているような心地で思考を巡らせていると、
不意に彼の金色の髪についていた桜の花びらが目に留まった。
あ、桜……。
反射的に彼の髪に手を伸ばし、桜の花びらを摘んだ
と、そのとき。
「ん……」
膝の上で突然彼が声を上げた。
そして案の定、私の制止の念も虚しくゆっくりと開かれた茶色っぽい瞳は、ばっちり私の顔を映した。
そして、自分の方に伸びている私の手を認めた彼。
その視線に気づいて、私は慌てて手を引っ込める。
「……あ、あの、」
これじゃあ、触ろうとしてたみたい……!
私が弁明しようとする前に、彼の顔にニヤッと笑みが浮かんだ。
「なに、寝起き襲おうとしてたのかよ?」
「……はっ?」