【完】365日、君をずっと想うから。


今すぐ逃げたいけど、彼の頭を膝から下ろしたら起きちゃいそうだし……。



どうしたものかと、膝の上に爆弾でも抱えているような心地で思考を巡らせていると、

不意に彼の金色の髪についていた桜の花びらが目に留まった。



あ、桜……。



反射的に彼の髪に手を伸ばし、桜の花びらを摘んだ


と、そのとき。



「ん……」



膝の上で突然彼が声を上げた。



そして案の定、私の制止の念も虚しくゆっくりと開かれた茶色っぽい瞳は、ばっちり私の顔を映した。



そして、自分の方に伸びている私の手を認めた彼。



その視線に気づいて、私は慌てて手を引っ込める。



「……あ、あの、」



これじゃあ、触ろうとしてたみたい……!



私が弁明しようとする前に、彼の顔にニヤッと笑みが浮かんだ。



「なに、寝起き襲おうとしてたのかよ?」



「……はっ?」

< 6 / 418 >

この作品をシェア

pagetop