【完】365日、君をずっと想うから。
下唇をかみ、頑張って涙声が出ないように努めながら、私は電話に出た。
「もしもし、蓮?
どうしたの……?」
《さっき、花の様子おかしかったから》
「え……?」
ばれ、てた?
「そんなことないよ、蓮!
私元気だし!
全然大丈夫!」
無理やりにでも明るい声を出そうとする。
蓮のこと、心配させたくないから。
すると電話の向こうから、私の明るい声とは相反して、冷静な声が聞こえてきた。
《その面のどこが大丈夫なわけ?》
「え……?」
蓮の声が二重に聞こえる。
なんで……?
反射的に私は教室の入り口の方に視線を向けていた。
と、その瞳は見開かれ、危うくスマホを落としそうになる。
だって、ドアにもたれかかるようにして蓮が立っていたから ───。