【完】365日、君をずっと想うから。


「れ、ん……?」



どうしてここにいるの……?



椅子に座ったまま、驚きで固まっている私の元へと歩いてくる蓮。



そして。



「泣いてんじゃん」



蓮の細くて長い指が、私の頬に伝っていた涙をそっと拭った。



それから上体を曲げ机に手を置き、なにも反応できずにいる私の瞳をまっすぐに見据えた。



「あのさぁ。
俺の許可なく強がんじゃねぇよ」



「……っ」



ねぇ、蓮。


これも、命令……?



優しすぎる命令に鼻の奥がジンと痛み、私は言葉を詰まらせた。



「その下手くそな空元気で騙そうなんて、俺をなめんな、怖がり花。
バレバレだっつーの」



「……な、んで……」



やっとの思いで口から出たのは、たった一言。



なんでいつも助けてくれるの?



なんでそんなに、弱ってるところを突いてくるの?



なんで、私を分かってくれるの?



私が怖がってたのが分かったから、ここに来てくれたの……?

< 77 / 418 >

この作品をシェア

pagetop