【完】365日、君をずっと想うから。
「れ、ん……?」
どうしてここにいるの……?
椅子に座ったまま、驚きで固まっている私の元へと歩いてくる蓮。
そして。
「泣いてんじゃん」
蓮の細くて長い指が、私の頬に伝っていた涙をそっと拭った。
それから上体を曲げ机に手を置き、なにも反応できずにいる私の瞳をまっすぐに見据えた。
「あのさぁ。
俺の許可なく強がんじゃねぇよ」
「……っ」
ねぇ、蓮。
これも、命令……?
優しすぎる命令に鼻の奥がジンと痛み、私は言葉を詰まらせた。
「その下手くそな空元気で騙そうなんて、俺をなめんな、怖がり花。
バレバレだっつーの」
「……な、んで……」
やっとの思いで口から出たのは、たった一言。
なんでいつも助けてくれるの?
なんでそんなに、弱ってるところを突いてくるの?
なんで、私を分かってくれるの?
私が怖がってたのが分かったから、ここに来てくれたの……?