太陽を追いかけて


だけどそれも長くは続かなくて、集中力のきれた私は宮間くんのノートをそっと覗く。


「わぁ……」


男の子の字とは思えないほど丁寧な字でびっしりと書き込まれているノートを見て、思わず声がもれた。


やってるのは、世界史みたい。


……宮間くん、すごいなあ。


勉強を始めてからずっと変わらず集中力を保っている宮間くんを、素直に尊敬する。


「……だから、宮原さん」

「……ん?」

「見すぎだって」


気付いたらかなり宮間くんのノートを凝視しちゃってたみたいで、隣を見上げると、宮間くんがはぁ……とため息を吐きながら私の顔を見つめていた。


「あっ、ごめんね。邪魔しちゃった」


私があわてて謝ると、宮間くんは私からぷいと目をそらして、


「……まあ、別にいいけど」


ってノートに目を向けた。


その横顔が、どことなく怖い。


……あちゃ、これは本当に怒らせちゃったかな。


いつもの照れ隠しとかじゃなくて。


< 110 / 197 >

この作品をシェア

pagetop