太陽を追いかけて
宮間くんの顔を見ることはできない。
だってきっと、“面倒くさいやつ”とか思われてるに違いないから。
「……はぁ」
また宮間くんから漏れたため息に、今度こそ泣いてしまいそう。
……ちゃんと、謝ろう。
そう思ったとき、誰かの指先が私の頬に触れた。
───ビクッ。
体が揺れて、頬がみるみるうちに熱くなる。
誰が私の頬を触ったの、なんて、そんなの分かりきっていた。
「宮原さん」
だって私の目の前には、きれいな瞳で私のことを見つめる宮間くんしかいないから。
……この図書館、私たちしかいないよね?
司書の先生も、職員会議があるからってこの図書館を出ていったよね?
なんて必死で頭の中を回転させる。
だってどっからどう見てもやばいでしょ、この状況は。
「宮原さん」
「……っ、どうしたの?宮間くん」
もう一度呼ばれた名前。
私はドキドキを隠すように、平静を装って宮間くんをそっと見上げた。