太陽を追いかけて
宮間くんは一瞬驚いたような表情を見せたけど、すぐにホッとしたようにはぁっと息を吐いてから、私を見て優しく笑った。
「……俺と、付き合ってくれますか?」
その笑顔と言葉は、宮間くんが好きだと気付いてからずっと私が望んでいたもの。
返事は、ひとつしかなかった。
「はい……っ」
私は涙をこぼしながら、宮間くんを見てにこっと笑う。
宮間くんはそんな私の涙を親指で掬うように拭うと、
「……帰ろっか。……愛莉」
って恥ずかしそうに言い残して私に背を向けた。
「……っ」
いい逃げはずるいよ。
初めて名前で呼ばれたことへの嬉しさと、宮間くんの彼女になれた喜びと、名前を呼んだ後に宮間くんが見せた照れた表情への愛しさと。
いろんな感情がごちゃ混ぜになって、にやにやがとまらない。
「……蒼汰っ」
思いきって私も名前で呼んでみると、蒼汰は足を止め、振り返って嬉しそうにはにかんだんだ。
その笑顔は、私たちの頭上に広がる青空よりもずっとずっと眩しく感じた。