太陽を追いかけて
こんなことを言ったら周りの人はどう思うのか分からないけど、このとき、私は確かに思ったんだ。
“やっとりんに勝てた”って。
りんと勝負をしてたわけじゃない。
翔平と蒼汰のことを比べてるわけでもない。
……なんでなんだろう。
私の好きだった人を奪ったりんへの当てつけ?
どれが正解かなんて私にも分からないけど、私は多分、りんに胸を張って自慢したかったんだと思う。
私の心の中でだけでもいい。
それでもいいから、“私だって幸せを掴んだんだ”って、“りんよりも幸せになってやるから”って、そう伝えたかったんだと思うんだ。
「ねぇ、蒼汰……」
駅の前までたどり着いた私たち。
私は人がちらほらいるのも気にせず、斜め前を歩く蒼汰のシャツをクイッと掴みこっちを向かせる。
……電車通学の私と徒歩通学の蒼汰。
もうすぐ、お別れの時間。
「……愛莉?どうかしたのか?」
呼び止めたのに何も言わない私の顔を心配そうに覗きこむ蒼汰。
私はそんな蒼汰の目を見つめて、いつもの自分じゃ絶対に言えないことを口走る。
「私のこと、好き……?」
突然のことに目を分かりやすく見開く蒼汰を見て、何言ってるんだろうって顔が赤くなっていく。