太陽を追いかけて
私は赤くなった頬を隠すように、お母さんから視線をそらして俯いた。
「……今日、蒼汰とデートだから」
そう発したのはいいものの、自分で“デート”なんて実際に言ってみると顔から火が出るくらい恥ずかしくなった。
「ああ、蒼汰くんとデートなのね。若いって、いいわねぇ」
お母さんが冷やかすように、私の肩をチョンと小突く。
蒼汰と付き合い始めた次の日の朝に、お母さんには“彼氏ができた”ってちゃんと報告した。
今日みたいに遊びに行くときに、“友達と”って嘘をつくことは心苦しいし、お母さんも私に彼氏ができたことをとっても喜んでくれたから、言ってよかったと思う。
「お母さんも会ってみたいわ、蒼汰くんに」
「蒼汰くんって呼ばないでよ」
「なんでよ。愛莉の、大切な娘の彼氏なのよ?どんな子か会ってみたいって思ったっていいじゃないの」
目を細めていたずらに笑うお母さんにちょっとだけムッとしたけど、でもこんなやり取りもなんだかんだで楽しいと思っちゃう自分がいる。
「また、いつになるか分かんないけど連れてくるよ。蒼汰にも聞いてみないといけないし」
私がそう言ってお母さんを見ると、お母さんは嬉しそうに笑って。
「楽しみにしてるわ」
と、私の頭を優しくなでた。