太陽を追いかけて
蒼汰と今日行く場所は、私たちの住んでる町内の水族館。
そんなに大きくない水族館だけど、イルカショーでイルカと飼育員さんたちが見せてくれるパフォーマンスがとってもすごいってよく全国の番組でも取り上げられるんだ。
「……蒼汰!」
待ち合わせ場所の水族館ゲート前に着くと蒼汰はもう先にきていて、私は小走りで蒼汰のもとへ向かう。
そんな私に気付いて、蒼汰は片方の眉毛をクッと下げた。
「愛莉、そんなに急がなくてもいいから」
「……でも、蒼汰のこと待たせちゃったから、……ごほっ」
「ほら、そうやって咳き込むだろ。愛莉は女で、俺は男なんだから。男の俺が先にきてるのは当たり前だよ」
蒼汰はそう言って私の背中に手をあてて、上下に優しくさすってくれる。
「……だから、気にすんな」
自然に密着した体と、耳元で囁かれる蒼汰の声と。
自分の体の全神経が過敏に反応して、ドキドキが止まらない。
最初っからこんな調子で、私の心臓は大丈夫なんだろうか。
途中でドキドキしすぎて、死んじゃったりしないかな。
なんてバカなことを考えてると、右手に暖かな温もりを感じて、私はハッと視線を手元に持っていく。