太陽を追いかけて


私は蒼汰と繋がれている右手に、ぎゅっと力を込めた。


「……じゃ、ないよ」

「え?」

「嫌、じゃないから……」


繋がったてのひらから、いっそのこと私の気持ちが全部伝わればいいのに。


そしたらこんなに恥ずかしい思いをしてまで、自分の気持ちを言わなくていいのにな、って正直思った。


……でも、その考えはあっという間に消え去ったけど。


だってさ。


「……ははっ、嬉しいや」


蒼汰が顔を真っ赤にしながら、照れくさそうにはにかんだから。


「俺だけかと思ってた。愛莉と手繋ぎたいなって思ってたの。でもよかった。愛莉も同じだったんだな」


空を見上げて、繋いでない方の人差し指で鼻をこすって。


恥ずかしそうに笑う蒼汰を見ていると、自分の思いをこうして言葉にして伝えてよかったなって思えたんだ。


「愛莉、行こっか。……今日は俺たちが付き合って初めてのデートだから、思い出に残る日にしような」


蒼汰の言葉にコクンと頷いた私は、蒼汰に優しくエスコートされて水族館の中へと足を踏み入れた。


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