太陽を追いかけて
──まもなく、3番線に列車が参ります。
そのとき、私たちが乗る列車到着を告げるアナウンスがホームに流れた。
アナウンスを聞いた人たちは携帯をしまったり、キャリーバックを持ち直したりとそれぞれに乗車の準備を始めている。
私と蒼汰も、今日あった出来事を話しながら列車の到着を待っていた。
「あ、電車きたね」
私が言ったのを合図にして、蒼汰が私の手を握る。
ドキドキするより先にびっくりして思わず蒼汰を見ると、蒼汰は私の顔を見ることなくまっすぐ前を向いたまま、
「愛莉がこけるといけないから。しっかり握っとけよ」
って言う。
蒼汰、顔真っ赤だよ。なんてことは言えないから。
「……ふふっ、蒼汰、ありがとう」
そう大人しくお礼を言ってから、蒼汰の大きな手をぎゅっと握った。