太陽を追いかけて
もうすぐで、電車がホームに停まる。
──そのとき。
「……蒼汰くん?」
ここにいるはずのないあの子の声が聞こえた。
おかしい。そんなはずはない。
これは私の聞き間違いなのだろうか。
……だって。
あの子が蒼汰の名前を知ってるわけないじゃん。
「あ、もしかして愛莉ちゃん?愛莉ちゃんでしょ?」
私が振り返った先に、あのときのようなふわふわな笑顔を浮かべながら近付いてくるあの子の姿がスローモーションで映った。
「蒼汰くんも愛莉ちゃんも久しぶりだね!ふたりとも、知り合いだったんだね」
にこにこしながら話すあの子──りんは、なんにも変わっていなかった。
その可愛らしい容姿も声も、おっとりとした性格も笑顔も、全部全部、あの頃のまま。
まるで中学に戻ったみたいな錯覚さえ感じた。
……知り合いだったんだね。
その言葉を言いたいのは、まるっきり私の方だよ。