太陽を追いかけて
もうすでに泣いてしまいそうだけど、蒼汰の前で泣きたくなんてないから。
私はグッと下唇を噛んだ。
「俺、小学校のとき、りんのことが好きだった。というか、俺たちは両思いだった」
コトン、と蒼汰が出来上がったミルクティーのカップをふたつ机に置きながら話す。
「前に言っただろ?教師に向いてるって言ってくれた人、愛莉でふたり目だって。そのひとり目がりんなんだ」
「……うん」
「小学校の卒業式の前、りんに降られたけど。だけど俺にとって、今でもりんは大切な人。こんな俺に、夢を与えてくれた人だから」
蒼汰の瞳が大人に見える。
今きっと泣きそうな顔をしている私とは正反対の、まっすぐな横顔。
また、りんに対しての嫉妬心がどろどろと浮かび上がる。
翔平はりんを好きになった。
蒼汰もりんが好きだった。
……りんは、私が好きだった人、そして今好きな人、そのふたりと両思いだった。
結局、私はいつまでもりんに勝てないんだろうか。
ねぇ、おばあちゃん。
私、誰かの太陽になれることはないのかな。