太陽を追いかけて


りんの家は中学のとき、一回だけきたことがあるから知っていた。


まだ場所を覚えているのか不安だったけど、人間の記憶力ってすごいんだな。


少しも迷うことなくたどり着けたんだもん。


私は少し深呼吸をして息を整えると、人差し指をインターフォンに伸ばしてボタンをそっと押した。


しばらく誰も出てこないからいないのかなと思ったけど、次第にパタパタという足音が近づいてきて、安心するというよりも引っ込んだはずの緊張がまた姿を現す。


「はい、どちらさまかしら?」


ドアを開けて出てきたのは、りんのお母さんだった。


りんのお母さんと会って話したのは家に遊びにいったときと卒業式の二回だけだったから、私のことを覚えているのかなと一瞬だけ不安になったけど、りんのお母さんは私を見るなり目を丸くして、それから微笑んだ。


「愛莉ちゃんよね?すごくきれいな女の子になったわねぇ」


その言葉にどうしていいのかわからず微笑み返すと、りんのお母さんはにこっとまた笑った。


「りんちゃん、今呼んでくるわね」


……びっくりした。


りんに会いにきたと言ったつもりはないのに、りんを呼んでくると言われたから。


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