太陽を追いかけて
木の影になっているベンチに腰かけた私たちの間に、しばらくの沈黙が流れる。
居心地が悪くて、なんどかお尻を動かしてベンチに座り直した。
……だけどこんなことしてたって、なんにも解決しないよね。
自分から聞くって決めたんだったら、聞かなきゃいけない。
これを解決しないと、私はこの先蒼汰に胸を張って好きって言えないような気がした。
「……りん」
言いたいことを全て言うと覚悟を決めた私は、りんの名前を口にする。
りんは俯けていた顔を上げて、左側にいる私を見た。
「私ね、中学の3年間、りんがずっと大嫌いだったんだ」
本人の前で大嫌いだと言うのは私もつらかった。
大嫌いだから大嫌いだと言ったのに、やっぱりそれでもつらかった。
だけどりんは傷付いた顔ひとつせずに、そっと笑って
「……うん」
と一回小さく頷いただけだった。