太陽を追いかけて


ひとつ大きく息を吸ってまたりんに目を移すと、りんは私を見ていて、視線がぶつかった。


「……ねぇ、りん」


私が名前を呼ぶと、りんが鼻をシュンとすすってそれから涙を指先ですくう。


……あの日、りんが私に言ってくれた言葉をりんはまだ覚えてるかな。


“友達になってほしいんだ”


勇気を出してりんが言ってくれた言葉だよ。


この日から私たちは友達になったんだよね。


だけどいろんなことがあって、私はりんのことを友達と呼べなくなった。


りんのこと大嫌いになって、中学の3年間もりんの前で素の笑顔を見せたことはなかった。


……でもね。


もう一回、今度は私から言わせてほしいんだ。


この言葉は嘘偽りない、本当の気持ちだから。


「私と、また友達になってくれるかな……?」


私の言葉に、りんが目を大きくした。


もう一回りんと友達になりたい。やり直したい。


この気持ちは本当だよ。


だからこの言葉を言ったんだ。




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