太陽を追いかけて


心のなかでそう思いながらも、私は指を動かして次はお母さんからのメッセージを開いた。


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柚月、お母さんからちょっとだけ
話したいことがあります。
今日、何時に帰る予定かしら?
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このお母さんのメッセージを見て、私ははあっと息を吐いた。


お母さんが話したいことってなんだろうっていう疑問もあるけど……


私も、お母さんに話したいことがあるんだ。


それは進路のこと。


私はやっぱり介護の道へ進みたいと思うから。


お母さんに今日、自分の本当の気持ちを言ってみようと思う。


……本当は、すごくすごく怖いけど。


お母さんの悲しむ顔は見たくないけど。


でも、決めたから。


自分の思ってることをなんにも言えない、“いい子”だけの自分とはさよならするって。


─────
私もお母さんに話があるんだ。
今帰ってるから、
あと10分くらいで家につくと思う。
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覚悟を決めて、少しだけ震える人差し指でこのメッセージを送信した。


唇をきゅっと噛み締めて瞳を閉じるとお母さんの笑顔がすぐそこにはあって、これからお母さんを苦しめることを話さなきゃいけないのかって思うと胸が痛いけど、それでも私は頑張らなきゃいけないんだよね。


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