太陽を追いかけて
「ただいま……」
緊張でドキドキしながら家の中に入ると、お母さんはもう机の前のイスになにやら真剣な顔つきで座っていた。
お母さんの目の前には、一枚の紙切れ。
……え、なに……?
動揺しながらもお母さんのすぐそばまで行くと、
「…………」
その紙切れは、私がよく知っているものだった。
「なんで、それ……」
私がようやく口を開くと、お母さんは立っているままの私を見上げて、微笑んだ。
「……愛莉のね、お洋服を部屋に持っていこうと思って。机の上に置こうとしたの。そしたら、たまたまこれが目に入ってきてね……」
お母さんの声は、すごく弱々しかった。
……それもそうだよね。
『第一希望/瀬戸福祉専門学校/介護福祉科』
なんて書かれてる進路希望調査なんて見せられたら、言葉を失うよね……。
お金だってものすごくかかるんだもん。