太陽を追いかけて
私がポカーンとしていると、お母さんが、
「愛莉、お母さんには就職したいって言ってたのに、この紙には進学したい場所が書かれてあったから。なんでお母さんに嘘ついたんだろうって思ってたのよ」
って言いながら、進路希望調査の紙をトントンと人差し指で叩く。
「……ごめんなさい」
私が謝ると、お母さんはううんと首を横にふって優しい瞳で私を見つめた。
「子供は、そんなこと気にしなくていいの。大切な大切な我が子がしたいことを全力で応援して支えてやるのが、親の役目なんだから」
「……っ」
「お母さん本当に嬉しいのよ?愛莉のためにまだまだ頑張ることができるんだから。愛莉が就職しちゃったら、もう私ができることなんてほとんどないでしょうから」
お母さんが言ってくれたこの言葉を、私はこれからずっと忘れないと思う。
だって、こんなにも嬉しいことってないよ。
……私、自分の夢を追いかけてもいいの?
まだまだお母さんに甘えてもいいのかな。
「愛莉、こんなにも優しい子に育ってくれて、お母さんに生きがいと幸せをくれて、本当にありがとう」
……とうとう、こらえていた涙が溢れた。
たくさんたくさん、私の頬を伝い流れていく涙の粒。