太陽を追いかけて
お母さんは手を伸ばしてその涙の粒をひとつひとつすくうと、私の頭をそっとなでた。
「愛莉なら大丈夫。きっと素敵な介護福祉士さんになれるよ」
その言葉に、私はコクンと強く頷く。
そしたら、お母さんが私の顔を見つめながらまた笑った。
「……そうね。お母さんへの恩返しは、それにしてもらおうかしらね」
「ん?どういうこと?」
「愛莉は介護福祉士さんになるでしょう?だからもしお母さんが将来動けなくなったとき。そのときは愛莉にお願いしようかしらと思って」
いたずらな笑みを浮かべるお母さんにつられて、気付けば私も涙を流しながら笑っていた。
……お母さん、そんなの小さすぎる恩返しだよ。
今まで私がしてもらったことに比べたら、とてもとてもちっぽけなもの。
だけどね、お母さん。
そのちっぽけなものが、お母さんにとってはとってもとっても大きな宝物だったんだね。