太陽を追いかけて


「……あ」


急に私と蒼汰が暖かい光に照らされて、私は声をもらす。


……これだ、これが私の大好きな景色。


「ねぇ、蒼汰。見て……?」


私が指差した方向に蒼汰は不思議そうな顔をして目を向ける。


蒼汰はとても驚いたような顔になった。


「……すごいな」

「でしょ?これが私の大好きな景色」


私は微笑んでそう言いながら、目の前に広がる光景に蒼汰と一緒のように目を向けた。


何度見ても、やっぱりきれいだと思う。


さらさらと風に揺れる緑の木々に、太陽の粒が光の粉みたいになって全体に降り注いでいるようにみえる。


そしてその光の粒が実った果実にきらきらと反射して、緑の木に花をつけているみたいに見えるんだ。


私はこの景色がとっても大好きなんだよ。


「蒼汰にね、見せたかった景色だよ」


私は蒼汰に微笑んだ。


< 191 / 197 >

この作品をシェア

pagetop