太陽を追いかけて


蒼汰はそっと私に目を向けると、奥二重の目尻をにこっと細めて優しい顔で笑う。


「……愛莉の好きな景色を、愛莉と一緒に見ることができて嬉しい」


その言葉に泣きそうになった。


だけどさっきまでたくさん泣いたからもう涙はでない。


心も体も、とても晴れ晴れとしている。


私はもう一度目の前にある景色に目をやって、それから高い高い遥か彼方にある太陽を見上げる。


太陽の放つ輝きが眩しくて、私は自然と目を細めた。


「……愛莉」


しばらくそうしていると、ふと蒼汰が思い出したかのように急に私の名前を呼んだ。


「なに?蒼汰」


だから私も蒼汰に聞き返す。


「俺がさ、愛莉を好きになった理由、これなんだよ」

「……ん?」

「愛莉の笑顔。太陽みたいだなって。素直って、まっすぐってことだろ?太陽もただまっすぐ俺たちを照らしてくれてるだろ?」

「うん……」

「愛莉は俺の太陽なんだ、きっと。愛莉がそばにいてくれるだけで、俺はきっとまっすぐ歩いていけるから」


そう、私の目を見て言ってくれた蒼汰。


顔が真っ赤になってるのは言わないでおこう。


< 192 / 197 >

この作品をシェア

pagetop