太陽を追いかけて
私は頭の中に、あの日おばあちゃんが言ってくれた言葉を思い出す。
“愛莉もいつか、この人やって思う人を見つけんといかんよ。そしてその人と出会ったんやったら、絶対にその人の手を離したらいけん”
“やけん愛莉も、いつかは誰かの太陽になりなさい”
“そしてその“誰か”に、愛莉も照らしてもらいなさい”
この言葉は今でも私の胸の奥深くにある。
……ねぇ、おばあちゃん。
あのときは言えなかったけどね、きっと今なら言えるよ。
『私、大好きな人の太陽になることができたよ』って。
もし私と蒼汰に永遠があるのなら、蒼汰とおばあちゃんとおじいちゃんみたいなふたりになれたらいいな。
いつまでもお互いを照らし続けられる、そんなふたりに。
「……蒼汰」
「ん……?」
「これから先もずっと、この景色をふたりで見れたらいいね……」
そうつぶやいた私の唇に、あたたかなきみの唇が重なった。
急な出来事に目を見開くと、愛おしいきみが言う。
「……んなもん、当たり前だろ」
そうぶっきらぼうに言い放って私をキッと睨んだ照れ屋なきみの瞳に、私たちの幸せな未来が映ったようなそんな気がした───。
【END】