太陽を追いかけて
こんなことになるなら、翔平に言えばよかった。
“好きだよ”って、素直に言えばよかった。
りんにとられるくらいなら、こんなに屈辱的な思いをするなら。
泣いて翔平を困らせてでも、翔平に想いを伝えればよかった。
募ってくるのは、そんな後悔の気持ちばかり。
『りんなんて……、だいっきらい……っ!』
初めて、りんがこんなにも憎いと思った。
きっとこれから私はこんな気持ちを抱いたまま、りんと翔平と接していかなければならないんだろう。
りんと翔平が並んで歩いているところを見て、ふたりで楽しそうにおしゃべりしてるところを見て、微笑みあってるところを見て。
私は中学校3年間ずっと、この胸の痛みと付き合っていかなきゃいけないのかな。
りんへの憎しみを心のうちで抱きながら、表では笑って過ごさなきゃいけないのかな。
『私……本当にバカだ……』
涙と一緒に込み上げてきたのは、これからの学生生活に対する絶望感だった。