太陽を追いかけて
*届かない太陽*


──チュンチュン……。


小鳥のさえずりの合唱がどことなく遠くで聞こえたような気がして閉じていた目を開けると、私の部屋の真っ白な天井が目に入った。


『あっつ……』


想像をこえるほど息苦しい暑さに、私は枕元にあったクーラーのリモコンを手に取り、スイッチを押した。


肌がべとついてなんだか心地が悪い。


だけどこの暑さも、当たり前だ。


だって今はもう8月。


私はというと、夏休み真っ只中。


そういえば昨日の夕方のニュースで、


《明日は大変な暑さとなるところが多いでしょう。熱中症にはくれぐれも気を付け、こまめに水分補給を取るようにしましょう》


って天気予報のお姉さんが言ってたな。


……私も寝起きでのどがカラカラだし、1階に飲み物でも飲みに行こうかな。


今日はお母さん事務の仕事もアルバイトも休みって言ってたから家にいるよね。


私はベッドから体を起こすと、お気に入りの部屋着を見にまとったままお母さんのいる1階へと向かった。


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