太陽を追いかけて


始業式が終わって、10分間の休憩も終わって。


今から、新しいクラスメイトたちによる自己紹介。


……私が、一番だいっきらいな時間。


この時間は人見知りの私にとって本当に苦痛でしかない。


私は頬杖をつきながら、クラスメイトの自己紹介を聞いていた。


……いや、聞いてたつもりだけど、私の中にはちっとも自己紹介が入ってこない。


だって。


何を言おう、変なこと言っちゃったら、どうしよう。


そんな気持ちで、私の頭の中がいっぱいだから。


「……はぁ」


誰にも気付かれないようにため息を吐くけど、全然心は落ち着かないし、静かになってくれない。


どうしよう、緊張して声が震えそうだよ。


なんてひとりで泣きそうになっていると、


「じゃあ、次、宮原さんね」


って、担任の岩本(いわもと)先生が私の名前を呼ぶ。


「は、はい……」


その場にそっと立ち上がって岩本先生を見ると、先生は長く束ねた髪の毛を片手で整えながら、私に向かって優しく微笑んだ。


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