太陽を追いかけて


私はひとつ息を吐いて深呼吸すると、まず自分の名前を言おうと大きく息を吸う。


だけど、そのとき。


急に、本当に急に、鼻の奥がムズムズし始めて、気付いたときには……


「……っくしゅ」


と、小さなくしゃみをしていた。


途端に、たくさんのクラスメイトの笑い声が教室中を駆け回る。


「………っ」


うわあ……最悪だ。


もう人生で一番ってくらい、最悪だよ……。


顔が真っ赤に染まっていくのが自分でも分かって、そんな顔を隠すようにグッと顔を下に向けた私。


恥ずかしすぎるでしょ……。


頭の中が真っ白になって、もう自分が何て言おうと思ってたのか分からなくなって。


何を言えばいいのか、それすらも、自分で分からなくなっていた。


< 62 / 197 >

この作品をシェア

pagetop