太陽を追いかけて
私がそっと顔を上げると、さっきまでのざわざわが嘘だったかのように、一瞬のうちに静まりかえる教室。
「えっと……宮原愛莉です。これから一年間、よろしくお願いします……」
たったこれだけを言うのに、声がおかしいくらいに震えた。
「よろしくねー!」
「宮原、これからよろしく!」
「仲良くしようね」
私の自己紹介からワンテンポあいて、次々と私に寄せられる言葉。
なんとか、自己紹介は上手くいったんだよね?
私に向けられる言葉の数々が嬉しくて、私はみんなに笑顔を見せてから席についた。
……あ、そうだ。
後ろの男の子に、お礼を言わなきゃ。
声だけしか聞いてないけど、とっても低い声だったから、男の子だと分かった。
「じゃあ次、宮間(みやま)くん。自己紹介お願いね」
私がお礼を言おうと振り向いたのと同時に、立ち上がる後ろの席の男の子。