太陽を追いかけて


私はグッと言葉を飲み込んで、本当に言いたかったことを口にした。


「ありがとう」


急なお礼の言葉に、分かりやすく眉間にしわを寄せる宮間くん。


そんな宮間くんに、小声で続けて言う。


「ほら、自己紹介のとき。宮間くんが“名前”って言ってくれたでしょ」

「……ああ」

「あれのおかげで、助かったよ。本当にありがとう」

「………」


宮間くんは私から視線を逸らすと、はぁ……とため息を吐いた。


やっぱり、わざわざお礼とか迷惑だったかな。


大人しく、何もなかったようにしてた方がよかったのかな……。


そう思って不安になっていると、宮間くんはまたさっきのように視線だけを私に向けた。


「……あんた、素直だな」

「へ?」


宮間くんの言ってることが分からなくて、今度は私が眉間にしわを寄せる。


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