告死天使
俺たちは、彼女の部屋に向かった。

病室の前で、看護婦さんが言う。

「――手をこれで消毒して…
 必ずマスクをつけて下さいね。」

アルコール製剤のジェルを擦り込んだ手に、使い捨てのマスクが渡された。

…ショックだった。

病院に見舞いに行くのは、祖父母のこととか、経験がある。
でも、ここまで要求されたのは初めてだった。

俺は、不安な気持ちを顔に出さないように努めて、病室に入った。
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