告死天使
帰り際。
奴が、俺の席に来た。

「――ちょっと話せるか、外で。」

「…? いいけど…。」

予備校を出て、駅に向かいながら、奴は口を開いた。

「あいつさぁ…
 今、また入院してるんだ。」

「えっ、なんで?」

治療は成功したって聞いてた。
退院できたって。
あえて近況を訊ねることはなかったけれど、学校に戻って、普通に暮らしていると思っていた。

そう、思い込んでいた。

「――再発したんだって。」
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