告死天使
「そんなの…別にいいじゃん。
 「高校最後の夏」をやり直せるって思えば。」

咄嗟にそう言った。
その言葉に、彼女が笑った。

「でも、恥ずかしいですよ、
 1コ下の子と同じ学年になるのは…。」

「別に恥ずかしくないって。
 俺と違って、ほら、何も自分が悪いわけじゃないんだし…。」

――浪人生、俺。

「先輩は、とりあえず卒業はできたじゃないですか~。」

「…ちょっと、「とりあえず」って何だよ。」

彼女は、笑っていた。
くだらない話で笑ってもらえたことが、俺には嬉しかった。
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