告死天使
――それからしばらく、とりとめもない話が続いた。

彼女は時に声を立てて笑った。
だが。

息づかいや目の置き方、両手のしぐさ。

楽しいのに、楽しみたいのに。
体がついてこない…そんな感じが、次第に表れ始めた。

奴も、それに気付いていたらしい。

「…じゃ、俺、そろそろ。」

そう言いながら、椅子から立った。

「え、そうなんですか?」

彼女は少し疲れた様子で、それでも、名残惜しそうに奴を見上げた。
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